皆さんは新しいお宅に入居する際に、くん煙剤を使用しますか?
新居にゴキブリはいないから使用する必要が無いという意見もありますよね。
しかし近年では、
も大発生しています。
ネット通販で海外製の家具・家電を購入する方も増えてきましたが、その段ボールなどに生体や卵が付着している場合もあるので、注意が必要です。
ですが、薬剤耐性があるゴキブリやトコジラミはどう対処すれば良いのでしょうか?
今回はその疑問を解決していきます。
新常識!薬剤耐性のある害虫にも効く燻煙剤は?
冒頭でも記載しましたが、強い薬剤耐性のあるゴキブリやトコジラミは、通常の殺虫剤やくん煙剤は効きません。
なぜ効かないかというと、通常の殺虫剤に含まれる成分「ピレスロイド」に対して耐性があるからです。
しかし、2023年2月にアース製薬が、薬剤耐性のあるゴキブリやスーパートコジラミにも効く殺虫剤「ゼロノナイトG」を発売しました。
こちらのくん煙剤を使うことにより、薬剤耐性のあるゴキブリや、スーパートコジラミを含む害虫を、残さず死滅させることができます。
スーパートコジラミは、ピレスロイド系に強い耐性を持つトコジラミのことで、世界で大量発生しており、インバウンドの増加の影響で日本にも持ち込まれております。
トコジラミはベッドやカーペットの裏、壁の隙間に潜んでおり、夜になると就寝中の人の血を吸いに来て、吸い終わると元の生息場所まで帰っていきます。
外国人観光客の多い宿泊施設や、清掃の行き届いていない漫画喫茶などを利用する際は、家に持ち帰らないように注意しましょう。
科学技術情報発信・流通総合システム(通称J-STAGE)によれば、トコジラミに刺されると、吸血時に注入される唾液によるアレルギー反応により、寝られないほどの痒みに襲われるそうです。
また、アレルギー反応が出るのは2~3日後と遅効性で、原因を特定するのは非常に困難なため、事前に予防をしておくことが大切です。
しかし、くん煙剤は使用中出入りできませんし、旅館やホテルなどの出先で使うことができません。
なら、どうやって薬剤耐性を得たトコジラミを予防するのかというと、2024年7月に発売されたスプレー式の「ゼロノナイト」を使用することです。
以下で
- 薬剤耐性のある害虫が生まれるメカニズムは?
- 「ピレスロイド」とは?
- 「ゼロノナイト」の効果は?
の3点についてご紹介します。
薬剤耐性のある害虫が生まれるメカニズムは?
まず、なぜ薬剤(ピレスロイド)に対して抵抗力を持つ害虫が生まれるのか、メカニズムをご紹介します。
私は勘違いしていましたが、薬剤耐性がある害虫が発生するメカニズムは、殺虫剤やくん煙剤からたまたま生き残った個体が耐性を得たのだと思っていました。
しかし、正しくは元々薬剤に対して抵抗力を持っている生体がおり、弱い個体は淘汰され、強い個体だけが生き残っているからだそうです。
「ピレスロイド」耐性が徐々についてきた・・・×
元々「ピレスロイド」耐性を持って生まれた・・・〇
上記は違いは細かいですが、私は非常に大きな問題だと思っています。
なぜかと言うと、前者の場合は、後天的に薬剤耐性をたまたま得た個体がいるだけなのに対し、後者の場合は、先天的に薬剤耐性を得て、耐性を受け継いで繁殖しているからです。
つまり、「従来の殺虫剤を使い生き残った個体だけを処理」すれば良かったのが、「従来の殺虫剤が全く効かない生体のみになってしまう」のです。
家庭に常備している、今まで信頼していた殺虫剤を使っても、ゴキブリに太刀打ちできないのは非常に恐怖ですよね。
くん煙剤も同様に、使用しても意味がなくなってしまいます。
「ピレスロイド」とは?
続いては、従来の殺虫剤に含まれている殺虫成分「ピレスロイド」について、深堀りしていきましょう。
ピレスロイドは、1886年に金鳥(KINCHO)の初代社長である、上山英一郎によってアメリカから日本に伝えられた除虫菊(シロバナムシヨケギク)の成分である「ピレトリン」を用いて開発されたそうです。
天然成分なので、人体には強い影響がないので安心ですよね。
KINCHOでも詳しく解説されていますが、このピレスロイドの特徴としては、
- 速効性
- 忌避効果
- 追い出し効果
- 安全性
が挙げられます。
速効性
微量でも様々な害虫に早く効果を発揮します。
噴射した薬剤「ピレスロイド」は害虫の皮膚や口から入り、神経に作用し麻痺させて退治する効果があります。
なので、飛翔する害虫でも素早く退治することが可能です。
忌避効果
薬剤濃度の薄い範囲には、害虫を含む虫が近寄って来づらくなります。
(薬剤濃度の濃い範囲は死滅します)
蚊取り線香もピレスロイド系ですので、想像しやすいですよね。
成分が自然に分解されるのが早いので、煙が舞っている間しか効果がありません。
追い出し効果
フラッシングアウトとも言い、隙間や暗い場所に薬剤噴射することで、明るい場所に追い出す効果があります。
地味な効果ですが、家具の裏に死骸があり掃除できないといったことを防いでくれるので、非常に助かりますよね。
安全性
ピレスロイドは体積の小さい虫にのみ作用する殺虫成分です。
万が一哺乳類や鳥類などの恒温動物の体内に入った場合でも、速やかに分解され、短時間で体外へ排出されるので安全です。
また、自然界においても光・空気・熱に触れると他の殺虫剤よりも分解しやすい性質があります。
必要な時に必要な場所で効果を発揮して、役目が終わればすぐに分解されるのは、非常に環境にも優しいですね。
ピレスロイド系殺虫剤は安全性が高いですが、大量に吸引したり浴びたりすることで、嘔吐、悪心、呼吸困難、席、目の充血や痛みが起こる可能性があるので、注意して使用しましょう。
「ゼロノナイト」の効果は?
ピレスロイド系殺虫剤が効かないゴキブリやトコジラミが大量発生していますが、その対策として開発されたのが「ゼロノナイト」です。
その効果を詳しく解説します。
ゼロノナイトの有効成分は?
ゼロノナイトの有効成分は、ピレスロイド系とは異なり、メタジアミド系の「ブロフラニリド」を主成分とした、三井化学クロップ&ライフソリューションが開発した殺虫剤原体の新薬「テネベナール」を使用した、新しい殺虫剤となります。
ブロフラリニドはいったい何なのかというと、厚生労働省の「ブロフラニリド農薬評価書」によると、ブロフラリニド骨格を有する殺虫剤のことです。
作用としては昆虫の神経細胞のGABA受容体に作用して、塩化物イオンの神経細胞への伝達を阻害することで、速やかな殺虫活性を示すものだと考えられています。
簡単に言えば、生物の細胞が活動するには、ナトリウムイオンと塩化物イオンのイオン濃度の差が重要で、その塩化物イオンの伝達を阻害することにより、神経伝達や骨格筋の収縮など、様々な生理的機能を停止させることができます。
人体への影響は?
一方で気になるのが、人体への影響ですよね。
ラット1kgあたりのLD50値は、食塩が3,000~3,500mgに対し、テネベナールは5,000mg以上となっており、食塩よりも安全性が高いと注目を浴びています。
犬、猫、ハムスター、小鳥などに対しても安全性が高い成分なので、安心して使用できます。
哺乳類・鳥類には影響がありませんが、昆虫や甲殻類、魚類などには影響がありますので、使用する際は薬剤が掛からないようにしてください。
ゼロノナイトの効き目は?
ゼロノナイトは従来のピレスロイド系殺虫剤に比べて、効果が表れるのが数時間後~数日後と遅いです。
しかし、光や熱に強いため効果が持続しやすく、1回の処理で約1年間効果が持続し、ゆっくりと害虫が駆除されていきます。
また、害虫がいない空間が続く「予防期間」も長いので、自宅でも快適に過ごすことができます。
ただし、すぐ害虫を退治したい場合は、あまり効果がありませんので、瞬間冷却スプレー殺虫剤などを使用しましょう。
ゼロノナイトは買うべき?
さて、ゼロノナイトについてご紹介しましたが、買うべきでしょうか?
私個人の結論では、「買うべき」だと思っています。
憎きゴキブリもそうですが、トコジラミも平均60日程度の寿命で、1日5~6個の卵を産み続け、生涯300~500個の卵を産みます。
もし1匹見つけたら、既に数えきれないほどの数が生息している可能性もあります。
症状が出てから特定するまでにもタイムラグがあるので、その間にも増え続けてしまうのです。
そうなる前に、ゼロノナイトで予防しましょう。
自宅で使う際には、隅々まで行き渡りやすいくん煙剤タイプがオススメです。
出先に持って行くならスプレー式がオススメです。
速効性はありませんが、ホテルに着いて初めに1プッシュするだけでも効果はあると思いますよ。
バッグなどに付着したトコジラミを持って帰らないで済みます。
布団の奥に潜むダニに特化しているのはこちらです。
我が家も建てたばかりの新築ですが、家具は旧宅から持ってきているので、ゼロノナイトで退治しようかなと思います。
皆さんも旅行を行く際は、十分注意してくださいね。